府中家具の館

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イラン絨毯(ペルシャ、ギャッベ)買い付け見聞録

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9月3日~6日にかけて、イランへ絨毯の直接買い付けに行ってきました。ギャッベ、キリム、ペルシャ絨毯の買い付けと、実際に織っている所や絨毯製造に関わっている人々、イラン人の日常生活で絨毯がどのように使われているのかを目と肌で感じて確かめて来ました。

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【1日目】

 関西空港からドバイを経てテヘランまで、約11時間の空の旅です。 ドバイまでは満席でしたが、ドバイからテヘランへの乗継便は空席も目立ち、周りはみんな中東の方々。 ときおり話しかけられるも、何を言っているか判らずひたすら笑顔 🙂 でスルーする。 現地時間9時過ぎ(日本との時差は5時間30分)に飛行機が着陸し、タラップで飛行機を降り横幅が3mはある大きなバスに乗り空港ターミナル内へ。イランの気候は日本とほとんど変わらず、夏は40゜を超え冬には雪も降るらしい。この夏、日本も暑かったが、ここテヘランの9月も暑い!

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ビザは空港内で発行されるため、30分程待つ。その間、銃を持った警察か軍隊の警備の人たちが見張りに精を出す異様な空気に緊張感が漂う。 ビザが発行されイミグレーションを通過し、迎えに来てくれたイラン人のマサーミさん(男性)と、今回のアテンドの西田さんと一緒に最初の目的地「染色工場」の見学に出発。

「染色工場」
空港から車で約2時間、高級シルク絨毯でも有名なクムの町
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とある染色工場、そこは3階建ビルの地下にあり、入口は狭く暗い。 なんとなく殺伐とした雰囲気に、恐ろしい所に連れて来られたと多少ひるみましたが、とても気さくな2人の染色職人が暖かく迎えてくれて、まだ着色していない白いウールの糸に色が染まるまでの工程を見せてくれました。

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染料は赤い色を出す、アカネの根、ザクロの皮、コチニールなどの天然草木染料
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大きな釜に水と染料を入れて薪で温め、腕を使ってかき混ぜて凄いスピードで回転させ、また水に漬け回転させてを数回繰り返すと綺麗な赤色に染まっていきます。

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染め上がった糸は乾燥室まで持って上がり、竿に吊るして約1ヶ月ゆっくりと待ちながら干していく。 ペルシャ絨毯の糸に使われる上品で美しい染め上がりにうっとりとしてしまう。

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ところで、草木染めと言っても、やはり着色粉も使うのだが、それが化学系かナチュラル系に分かれるみたいで、その見極めは極めて難しい。 ペルシャ絨毯を見て、あるいはギャッベを見て、これは草木染め、これは化学系の染だと判断する材料は色の付き具合だという。現地のプロの方でも100%は判らないのだが、明らかにこれは草木染めじゃないだろうと言う物もあるので、そこはちゃんとこの目で草木染めの工程を見て、あの上品な優しい色を頭の中に残せたのは大きな収穫。

「昼食」
イランで最初の食事はデパートの最上階にあって、周りがガラス張りの市内が一望出来るロケーションの良いレストラン。
バイキング形式なので、いろいろな料理を一通り食べてみるが、何か独特な香辛料が入っていてちょっと口に合わない。 飲物は決まってコーラ。なぜコーラ?なのか全く理解できない。 う~んと思いながら、それでも食べられそうな物を探しに行くと、なんか微妙に周りの景色が変わって見えたので、注意してみると、気付かない程ゆっくり少しずつ床が回っていた。日本で言う回転展望レストランだった。 イラン人のマサーミさんが、少しでも良い所に連れて行ってあげようと気遣ってくれたのだと思い感謝する。 料理は結局どれも苦手でテンションも下がったけれど、イランの人はどこに行ってもとにかく親切でフレンドリー。 フロアーが1周したくらいで食事も終わり、次の「洗い場」見学に向かう。

「洗い場」
クムという町は絨毯の洗い場としても有名な地域で、他の地方で織られた絨毯も一度クムを経由して市場に出回るらしい。

洗いを待つ絨毯の山 iran-IMG_7661

絨毯を洗う職人さんが、クワみたいな物やスポンジを持って横一列に並んで水と洗剤を付けて洗っていくのだが、そのクワで角が立って絨毯がほつれたりキズついたりしないのかと不安になるが、汚れを掻き出すには都合が良いみたい。

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まあ、職人さんも手慣れたもので、ある程度の力を入れて磨く分には問題ないという事。 ホースで水をまき、ひっくり返してまた洗剤を付けて洗ってを繰り返す。

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すべて手作業で大切に扱っているのが分かる。

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水の色が透明になってきたら最後は水を切って乾燥室で1週間かけて乾かす。

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乾燥しきっているイランで水を使って仕事が出来るのは一見気持ち良さそうだけれども、この作業を一年中繰り返すのは思った以上に大変かもしれない。なにせ水に濡れた絨毯は異常に重いのです。

「手織り」
クムのペルシャ絨毯も有名です。マサーミさんが、ペルシャ絨毯を織っている所を見せてあげると、洗い場から車を走らせて15分位、脇道に入った閑静な住宅街の1軒の家に案内され、入って行くとリビングに大きな織り機が壁一面にあり、途中まで織られている絨毯が掛かっていました。
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ちょっと織っている所を見せてくれると言うので待っていると、若い女の子が織り機の前に座って、慣れた手つきで織っていきます。
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大人も子どもも老人も関係なく、一家に一台織り機があって、手の空いている者が織っていく家族みんなの共同作業。そしてコツコツ織り上げて、1年後くらいに1枚完成する。気の遠くなる様な作業でもみんなで織っていけば、いずれは完成するといったのんびりとした雰囲気なのです。 女の子も最初は恥ずかしそうにしていたが、元になる模様を確認しながら、糸の色を選び、淡々と積み重ねてペースも上がってきて、丁寧ながらも手際よく織っていく姿はすっかり一人前の職人さんのようです。
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機械織りでは出せない手織りの優しい触れ心地、こうやってコツコツと代々受け継がれてきた伝統技法で惜しみなく時間をかけて完成させていくペルシャ絨毯の貴重さを改めて実感しました。

「砂漠の景色」
帰りは高速道路をひたすら飛ばして帰ります。イランは砂漠の国。雨が少なく、緑がほとんど無い砂漠の荒涼とした景色がどこまでも続く道にちょっとセンチメンタルな気持ちになりました。・・・早くもホームシックかな?
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しかし、テヘランの町に入ると交通渋滞でなかなか進まず、ホテルに付いたのは予定時間を大きく過ぎていました。
もうくたくたで、夕食に食べようと日本から持ってきていた日本食も食べずに、あっという間に眠ってしまいました。

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【2日目】
 2日目は、朝5:30出発。飛行機に乗ってシラーズに向かいます。 3回に1度は飛行機が遅れると聞いていたが、この旅は一度も遅れることはなく、いたって順調に移動が出来たのは私の日頃の行いが良いからかも 😆  シラーズでは、まず、世界遺産のペルセポリス遺跡に連れて行ってもらう。

「世界遺産 ペルセポリス」
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イランではあまり外国人を見た事はなかったが、ここではチラホラ見かける。 イランはとても歴史のある国で、メソポタミア文明の発祥の地であり、つねに戦争と関わってきた激しい国だ。 かの有名なアレキサンダー王も、この地まで攻め込んで、ここを治めたらしい。また、ペルシャ王朝が栄えたのもこの地が発祥らしい。

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女性は外国からの観光客でもスカーフをしなければいけないみたいです。
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とても歴史のある、そして宗教とは切っても切れない国、ここに来なければ分からないイランの魅力を感じました。

「遊牧民の生活」
遺跡の帰りに、遊牧民のテントにお邪魔する。
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羊とヤギを放牧しながら、餌の草が無くなったら移動するという生活スタイルなので、荷物は極力少なくするのが一般的だが、やはりそんな生活の中でも絨毯はマストアイテム。 移動するので、絨毯は地面に敷いて、そこに屋根を作り、布で壁を施したテントで生活をする。 さすが遊牧民の国ペルシャを実感。

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ちょっとテントの中にお邪魔して、お茶を頂いたが、風通しが良く思ったより快適。ギャッベを下に敷き、その上にウールのペルシャ絨毯ということで、底付き感は全く無い。我々日本人にはちょっと贅沢な事になっていた。 荷物を覆う布も柄のある綺麗な織物で、日本ではインテリアの装飾品になるが、イランではやはり生活必需品なのだ。

「ギャッベ」
次に、ギャッベの毛をカットしている所に行く。 そこは20代の青年が一人で作業していた。日本みたいに大量生産ではなく、1枚1枚大事に作っているのがよく分かる。彼がカットしたギャッベが綺麗に並べられていた。
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そして、近所にギャッベを織っている家があると言うので、そちらにお邪魔する。 そこは庭に織り機が置いてあり、2人の女性が並んで織っている。

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熟練のおばあちゃん2人組だ。初めはカメラを気にして恥ずかしそうにしていたが、だんだんとスピードが上がり、とても手際よく糸を重ねていく。小さな頃からずっとこの作業をしてきたのだろう、職人さん以上の職人なんだと思う。そんなベテランの作り出す素朴な「味」がギャッベの人気を支えているのかもしれない。
その後、遅めの昼食を食べて、今度はギャッベの倉庫に案内してもらう。

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結構頑丈なセキュリティを外すと、中は最後の仕上げ前のギャッベが山積みになっていた。

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ここは、この山いくら、そっちの山いくらという「山買い」をする所で、いちいち1枚ずつ見ないらしく、中にはハイクラス系も混ざっているというギャンブルみたいな話ではあるが、ちょっとこのまま買う気にはなれない。

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一通り見て、飛行機の時間が迫っていたので飛行場へと向かいテヘランへ戻る。
そう言えば、この日の昼食もとても雰囲気の良いバイキング形式の食事。昨日は匂いに抵抗があり体が受け付けなかったが、ここでは食べられる物もあり、だんだんとイランに適応してくる。

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【3日目】
いよいよバザールへこの旅本来の目的でもある買い付けに行く。

[買い付け-①]イラン最大のバザールには、日用品から高級ペルシャ絨毯まで何でも有るが、とてつもなく広い!
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バザール内は、区画整理されていて、同じ商品を扱う店が同じ区画に集められていので買う側は便利。
そして、閉まるのがまた早く、朝9時に開き、昼の2時には店じまい。とてもじゃないが、1日では全て見て回れない。

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絨毯屋1軒だけでも1階、2階、地下とあって、それが何軒もあるので足早に見て回る。世界中でペルシャ絨毯は重宝されていて、ドイツやロシアなどヨーロッパの国々のバイヤーも直接ここに買い付けに来るという。 聞いた話では、私が来る1週間前にオマーン国王が14億円分のペルシャ絨毯を買って帰ったらしい 。

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一枚一枚めくって見せてくれるが、あれもこれも欲しくなり選ぶのに苦労する。
しっかり吟味して、しっかり値段交渉をします。

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何軒か回り、途中でお茶をご馳走になりながら時間の限りまた見て回るが、なにせ閉店が午後2時なのだから、1軒に長く留まっているのは時間がもったいない。
日本でもお馴染みの「マスミ工房」の直営店にも寄ってみました。
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ちょっと他のお店とは違いここは高級感が漂う。
これもペルシャ絨毯。まるで手で描いた絵画のような美術工芸品です。
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【4日目】
最終日、昨日行かれなかった残りのお店を廻ってみる。

[買付け-②]iran-IMG_8076-2 iran-IMG_8090
 価格は業者と交渉して決まりますが、イランと日本の物価の差も考慮しなければいけません。
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無事買い付けも終わり、絨毯ミュージアムとサアダーバード宮殿博物館にも行ってみました。

[THE CARPET MUSWUM OF IRAN]絨毯ミュージアムでは500年前~新作までペルシャ絨毯の歴史の全てが見られます。
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[サアダーバード宮殿博物館]この宮殿博物館は、王家の離宮として使われていましたが、現在は、美術館・博物館としてその一部が公開されています。
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「終わりに」
違う文化や風習、習慣はその地で実際に見てみないと分からないことがある。ゆっくりと流れるイランの空気に直接触れて、多くの時間をかけて作られるペルシャ絨毯やベャッベ・キリムといったイランの織物の貴重さと、日常生活で果たす役割を実感した有意義な旅でした。 イランではクツを脱いで絨毯の上で座る事も多く、日本でもイランの絨毯文化は違和感なく受け入れられているのでしょう。 この貴重な体験を活かして、お客様に的確なアドバイスが出来るようにしていきたいと思っています。
また、府中家具の館では、古くからイラン人バイヤーとの信頼関係を築いており、できる限りの低価格化を実現しています。
                                  — 府中家具の館 T.Nakashima —

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余談
「イランの食事」
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 町で売られている焼きたてのナン、メロンやスイカやブドウなどの果物も豊富
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メイン料理はケバブ(焼いた肉や野菜)にバターライス
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アルコール禁止の国なのでお酒は飲めませんが、食後はシーシャ(水タバコ)や甘~いお菓子を食べながら、サフラン入りのシュガースティックが付いたチャイ(紅茶)でゆったりと過ごします。 お茶を足しながら飲むと甘さを調節できます。
とにかくイラン人は甘い物が大好き!
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このお店は、敷いてある絨毯やクッションやイスの座布団、テーブルクロスや壁に掛けられたタペストリーなど織物製品でいっぱいです。

[イランのカラス]公園で見かけたカラスは日本の真っ黒なカラスと違って白い?
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白いと言っても、黒とグレーのツートン。ところ変わればカラスも変わる!?